今日読んだもの

鈴木いづみコレクション4 女と女の世の中
ピンクのカバーのシリーズが5冊くらい、ブックオフの100円コーナーに放り込まれていたので買った。これはSF短編集。時間SFミーツGS小説という趣の「カラッポがいっぱいの世界」が最高にグルーヴィー。タイガースやカップスのみならずリンド&リンダーズやらジェノバまで登場するマニアックさ、いきいきと当時のシーンが浮かび上がる風俗描写の数々にシビれる。たとえば刹那な疾走感に満ちたこんな一文。
"つけまつげは二枚。うえとしたに。やたらと青白くぬった顔で。
なぜそうしたいのかわからないけど、夜のそこを走っていく。
性的には非常に未熟で。ただ、夢を見ていたい。頭は熱く。体はひえている。
音がなんであるかなんて、分析はできない。あまりにつよく感じすぎて。脳があわだってしまって。
ヨコスカで本牧で。そして、かなしげに原宿で。
ブラインドバードになってしまって。ただ、つきすすむ。"
そんなグルーピー少女たちが大人になってしまった後の乾いたノスタルジーが饒舌に描かれるポップ小説。