今日聴いたもの

SMILE & YES / 南佳孝
'04年の「ROMANTICO」に続くオリジナル新作。アコースティックな感触が心地良いオーガニック・シティポップという感じの楽曲が並ぶ前半の流れは本当に完璧で、特に、スティーリーダン的なAORテイストのラテン・ピアノロック"夜のプール"に、ハモンドがうなるグルーヴィーファンキーな歌謡ロック"Immigration Man"、バカラッキシュなMOR風の"泣き顔のランデブー"と続く流れは、昔と変わらない良質な短編のような独得のシティポップ世界。これまでのイメージを覆される、フォークっぽい弾き語り曲が並ぶアルバム後半では、少しアシッドフォークが入ったようなダウナー・ブラジリアン・フォーキー"気ままな一人暮らし"の醸し出す不思議な余韻が印象的。
ボクのこころ〜Meu CORACAO〜 / 南佳孝
'08年発表のセルフカヴァー集。「モンタージュ」や「セブンス・アベニュー・サウス」といったアルバムを思春期の頃に聞き狂っていた自分にはなかなかグッとくる選曲で、ジェントル&ロマンティックなジャズサンバ風に聞かせる"憧れのラジオ・ガール"や抑制の効いたボサAORアレンジの"Scotch and Rain"とか涙なしでは聞けない。唯一のオリジナル新曲、夕暮れシティポップ・グルーヴ"Route134"も最高で、そのニヒルな歌声同様に、全く衰えない創作意欲が頼もしくも嬉しい感じ。ただ、あまりに本格ブラジリアン寄りのトラックは、アクというか個性が薄まってただのBGMになってしまうような。