今日聴いたもの

11のとても悲しい歌 / PIZZICATO ONE
'11年。線の太いウッドベースの響きに深いピアノの音色、時々絡むサイケなストリングスとか、60年代後半のチャールズ・ステップニーというかCadetレーベルというか、そんな感じの硬質で静謐な質感に包まれた、タイトルどおりの「悲しき」ポップスカヴァー集。冒頭の"ワン"の孤独感からもう只事ではなく、デ・ラ・ソウルにサンプリングされてたあの曲と思しきバカラッキッシュ曲"ア・リトル・ビット・オブ・ソープ"、格好良いジャジーMORグルーヴ"バンバン"、漂う虚無感になんだか怖くなってくるフォーキーMOR"メイビー・トゥモロウ"など、日本語対訳を眺めながら聞いてるとどんどん悲しい気分に。極め付けはロジャー・ニコルス&スモール・サークル・オブ・フレンズのあのハーモニーで聞かせるMASHの"Suicide Is Painless"カヴァーで、歌詞と音とのギャップが強烈。
WORLD OF FANTASY / capsule
新作。ますますポップス要素は削ぎ落とされ、ひたすら機能的なダンスミュージックが繰り広げられる極彩色のレイヴ・テクノ盤。子どもVoをフィーチャーしたスカスカミニマルの"I JUST WANNA XXX YOU"、アヴァンな展開が格好良い"STRIKER"、ブリープテクノとピアノハウスを合体したような90年っぽい"I CANT SAY I LIKE YOU"とか、懐かしくて刺激的な感じ。"I WILL"や"PRIME TIME"といった甘酸っぱい歌声を前面に出した曲も、あくまで歌声も素材の一つとして取り扱われていて、これまでのアルバムではそれでも時々は感じられたポップス的なカタルシスはほとんど無く、さすがにここまで来ると、魅力的なヴォーカルを擁するこのユニットでわざわざこういうことををやらなくても、という気にはなるけど。