今日聴いたもの

ファイヴ・フィンガー・ディスカウント〜万引き / Phew
'10年新作。歌謡曲やフォーク、ポップスのスタンダードを、ブリジット・フォンテーヌかニコかというような「ひだりがわ」な歌声とアヴァンな演奏で聞かせるカヴァー集。アルバム全編を通じて、「フリーキーなギター」の魅力が満ち満ちていて、こういうギターの音を求めてノーウェイヴやらフリーミュージックやらを聴きあさっていた若い頃を思い出してしまった。
特に、3曲収録されている加藤和彦作品がどれも良くて、バラードの"オーブル街"に"ふしぎな日"での、ともにお馴染みのはずのコトバとメロディーが改めて新鮮に染み入ってくる歌と演奏、そして"青年は荒野をめざす"の勇ましいノーフューチャー感にグッと来た。そして"青年〜"と並んでアルバム中のアクセントになっているファンキーな"世界の涯まで連れてって"カヴァーも相当凶暴で格好良い。当然、昨晩体験したライヴで、ベレー帽での立ち姿の凄い存在感を間近に感じながら聞いたのとはまた印象が違うのだけど、音だけでもやはり素晴らしい1枚。
Carapace / 石橋英子
新作。「Drifting Devil」で少し苦手な感じがしたファンタジー・ポップ・テイストがより前面に出ている印象で、一聴した瞬間ウーンと思ってしまったんだけど、1曲目のガーリーなプログレ・ピアノポップ"coda"やドタバタしたポストロック路線の"shadow"などアップ曲でのダイナミックなリズムの気持ちよさ、フェアリー系バラードかと思わせて急にポールウェラーみたいなファンキーロックになる"shortcircuit"や、"face"や"hum"といった曲での、緩急自在なリズムチェンジでかく乱される先の読めないアレンジなどは相変わらず魅力的。とはいえ次はまたガツンとくる野蛮でアヴァンなヤツも期待。