今日聴いたもの

Astral Signal / Gene Harris
ブルーノート'74年盤。エクスペリメンタルな不協和音ピアノ演奏に続いて怪しい教則レコード風のナレーションが流れ出し、間髪いれずにメロウで深遠なAORジャズ・ロック"Summer(The First Time)"に突入する冒頭から、ファンク、ゴスペル、ロックンロール、ニューオーリンズと、ノンストップでめくるめく展開を見せる面白コンセプト・アルバム。全編にわたって流麗に弾き倒されるピアノが最高で、特に"Losalamitoslatinfunklovesong"や"Love Talkin"など80年代フュージョンに先駆けたようなアーバン・メロウ・トラックでのトワイライトでクリスタルなフレーズは素敵過ぎる。他にシカゴのカヴァーで粒立ちの良いアコギ・カッティングが気持ち良いクロスオーヴァーソウル"Beginnings"やスライ的なピースフル・ファンクソウル"Feeling You,Feeling Me Too!"など歌物もナイス。
Blues And The Soulful Truth / Leon Thomas
スピリチュアル・ジャズ御用達歌手の'72年のフライング・ダッチマン盤で、いわゆる「ヨーデル」のイメージを裏切られる、ゴリゴリの塩辛ヴォーカルを聞かせる硬質ファンク・ソウル・アルバム。とはいえ、やはりまず耳を引くのは3曲目の不穏なアブストラクト・ジャズ・ファンク"Gypsy Queen"で、ヨーデル唱法も炸裂して、何より浮遊感のあるパーカッシヴ・アレンジが心地良い傑作。ここからタイトゥンアップな陽だまりソウル"Love Each Other"、粘っこいグルーヴが格好良いエキゾティック・ファンク"Shape Your Mind to Die"、そしてシャッフルビートのブルースロックで意表を突かれる"Boom-Boom-Boom"と快演が続く中盤の流れが素晴らしい。