今日聴いたもの

ゴールデン・ヒッツ / 和幸
07年。フェイクなコンセプト主導で、どちらかというと加藤和彦の職業作家的な側面が前面に出ている気がする坂崎幸之助とのユニット。この盤はカレッジ・フォークと英米60年代ポップスが同居した感じがちょっと「紀元貮阡年」を思わせる雰囲気の1枚。冒頭のS&Gテイストの青春カレッジフォーク"生命"がいきなり名曲で、一気に世界に引き込まれるんだけど、次々に登場するS&Gやビートルズ・ネタ、サイケポップ路線などは、正直、想定内の音であまり新鮮さはないかも。ただし、地中海テイストのアレンジが粋な"黄昏のビギン"カヴァーにバカラックなソフトロック歌謡"Sensored Mail"、叙情派フォークを思い切り洗練させたような"Her Hometown"といった飛び切りの傑作曲が要所要所に用意されていて通して聞いてダレないアルバム。
ひっぴいえんど / 和幸
09年。こちらは70年代初頭くらいの埃っぽいアーシー・フォーク・ロックを再現、全体にゆったりうねる骨太なグルーヴとCSN風の清涼ハーモニーが印象的なラスト作。アグレッシヴなプロテスト・フォーク風のタイトル曲やニール・ヤング風のダウナーフォーキー・グルーヴ"タイからパクチ"に"池にゃ鯉"など、こんな加藤和彦聞いたことがない!というインパクトに満ちた曲多数。ただ個人的に琴線に触れるのは、はっぴいえんどのようで微妙に違うその微妙なラインがたまらない"あたし元気になれ"や、ラテンフォーキー〜アコ・スウィングなお洒落アレンジとまさに「日本フォーク」という感じのモノマネ唱法のギャップが可笑しい唱歌カヴァー"花"といった曲で、やはりこの人はこういうスタイリッシュなのがハマるなあとしみじみ。とりあえずあんまりな曲タイトルの数々についてはノーコメントの方向で。