今日聴いたもの

Cosmic Tones For Mental Therapy + Art Forms of Dimensions Tomorrow / Sun Ra
Saturn盤の2in1。アストロ・スペース・オルガンにアストロ・スペース・ドラムス、スカイ・トーン・ドラムスといったふざけた楽器クレジットが素敵な「Cosmic Tones」は、63年の録音で、ちょっと土着的なエキゾティシズムとタイトル通りスペーシーなハイパーソニック指向が一体となったなかなか奇怪なストレンジ・ジャズ盤。宇宙的なエクスペリメンタル音響空間にユーモラスなバス・クラリネットがのびのびと響き渡る"Adventure-Equation"と、アタックの激しいパーカッションとうねるウッドベース、ヘナチョコな音色のハモンドオルガンでクールにスウィングする、どこかヘンなんだけどやけにカッコイイ"Moon Dance"の2曲がかなりお気に入り。
61年、62年に録音された「Art Forms」は完全なエクスペリメンタル音響作品とミニマルなアブストラクト〜フリー・ジャズ、そしてオーソドックスめのビバップ演奏ながらどこか不穏なピアノ・ジャズと、何となく「Cosmic Tones」を因数分解したようなつくり。こちらは逸脱しつつも妙なバランス感もあって、ギリギリのところでポピュラー音楽として成立している感じ。
My Brother The Wind, Vol. 2 / Sun Ra
今度はインターギャラクティック・オルガンと称するハモンドオルガンをフィーチャーしたコンボ演奏とムーグ・シンセサイザー・ソロが片面にそれぞれ収録された、不可解な構成の70年作品。ブルージーにスウィングするハードボイルドなオルガン・ジャズ"Otherness Blue"に始まり、フリーキーなサックスとメロウなハモンド・オルガンが決して交わらずにただ同居しているアブストラクト演奏"Contrast"で終わるコンボ演奏編はハッキリ言って傑作。ドリーミーなジャングル・エキゾティック・ポップ"Somebody Else's World"にクールでムーン・ダンサブルなジャズヴォーカル曲"Walking On the Moon"といった2曲の女性ヴォーカル曲に、オウト・オブ・キー感いっぱいのままスウィングするビッグバンド・ナンバー"Somewhere Else"など、キャッチーな中にストレンジなフックが絶妙に散りばめられた多彩なイイ曲揃い。それだけに、50年代のB級SF映画パルプマガジンの世界を思わせるチープな演奏が、微妙にトーンを変えつつ延々繰り広げられるムーグ編との落差が強烈。いやコレも面白いんだけど。