今日聴いたもの

「もうひとつ」の愛 / 財津和夫
92年。昨日聞いた最終期チューリップでの作品群と地続きなマシナリーな産業シティポップ〜MORな音作り。オリエンタル・エレクトロなタイトル曲をはじめ、コンサバなMOR風の楽曲にやけに濃厚な歌詞が乗る"君の部屋のソファ"や"急行の停まる街"など、渡辺淳一的なアダルトなラブアフェア路線がますます快調で、特にちょっとシュールでエロティックな"君のそこが"の奇妙な味わいは素晴らしい。そして、最初の1小節だけ女性ヴォーカルが歌う変わった構成のラテン・シティポップ"満月の夜の罠"のほのかなELOテイストに安心したり。
ONE WORD / 財津和夫
98年。1曲目の冒頭、いきなりディストーションの利いたギターがうなるビートリッシュパワーポップのタイトル曲や、60年代ガレージサイケっぽい"闘う男"、グルーヴィーなサイケ・フォーク・ロック"ぼくは君のゴミじゃない"など、全体に60年代ロック色の強いサウンドで、キャッチーなモダンポップ風の"君もいつかはシルバーシート"やヴォードビル調フォークロックの"My Dear"なんかはまるで全盛期チューリップのよう。なんだけど、メッセージ色の強い歌詞とあの頃より確実に角の丸くなった楽曲のせいか、いまひとつ中途半端な印象もあって、ザラザラしたローファイ・フォークロックに流麗オーケストラル・ポップを強引にアダプトした"ちょうど"みたいな大胆な曲をもっと!と思ってしまう。