今日聴いたもの

箱舟は去って / 金森幸介
75年。"喫茶ロック"コンピで聞いた、土臭くも洗練された雰囲気のグルーミー・フォークロック"通り雨"で、それまで抱いていた垢抜けない字余りメッセージ・フォーク・シンガーというイメージを覆されて、以来ちょっと気になっていた1枚。なんだけどアルバムを通して聞いてみると、やっぱりもともと持ってた印象に近い感じかも。ゴスペル風ピアノバラードの"何処へ"や"箱舟は去って"、カリビアンな"日向ぼっこが僕の趣味"など、ところどころに70年代SSW的なクロスオーヴァーなセンスも感じるんだけど。"通り雨"に通じるメロウなカントリーロック"片想い"がイイ。
山谷初男の放浪詩集 新宿 / 山谷初男
74年。天井桟敷に、あがた森魚はちみつぱい。朴訥とした唄と語りを繋ぐように、雑踏や工事現場、雨音などの現実音がコラージュされたコンセプト・アルバムで、目まぐるしく展開するタンゴ歌謡"人生は歌謡曲だよ、桃ちゃん"、ゆったりとグルーヴするベースが心地良いニューロック風の"誰も俺の名前を知らない"、ダークで隠微な"少年探偵団"や"こがね虫"のパロディーなど笑えて泣ける曲がいろいろ。時々聞こえる清涼な女声コーラスにもグッとくる。新宿アングラ演劇テイストと大正ロマンが交錯するシアトリカルな和製モダンポップという感じで、真っ先に思い浮かぶのはルイス・フューレイだったりもするんだけど、こっちの方が先かな。ムーンライダーズっぽいポップなプログレ歌謡"ロング・グッドバイ"が一番のお気に入り。