今日聴いたもの

“元祖コマソンの女王”楠トシエ大全 / 楠トシエ
傑作エキゾティック歌謡"かっぱの唄(黄桜)"ではじまる、CD2枚組150分全70曲の大アンソロジー。ほとんど三木鶏郎作品集と言う感じで、ひたすら明朗な行進曲調や童謡・唱歌、いかにも子供番組っぽいほのぼのした楽曲などが延々と続く、全体に戦前戦後から昭和30年代くらいまでのポピュラー・ソング/流行歌的な色彩が濃い内容。正直、若干シゴキ系な気もするんだけど、エレクトーンみたいなオルガンの音色が気持ち良い"オルガン針の唄"やメロウでコミカルな4ビート歌謡"味の素・お料理ミュージカル(幕の内篇)"、パーカッションが痛快な"パント錠の唄"、急速スウィング歌謡"パイロットでスタート"、そしてグッと洗練されたメロウなスウィング歌謡"二人の雨"とか、イイ感じの曲もいくつか。エノケンとのデュエット"僕は特急の機関士で"はさすがにキャッチーだし。
ただやっぱり、CM曲でもいずみたくの"キスミー・セクシー・ピンクの歌"や"怪人わかとの"、越部信義の"テル(旭電化)"といった、昭和40年代以降なテイストの方がなじみやすいのは確かで、Disc1ラストの"CMソング・ヒット・メドレー"をはじめ、ビッグバンド・スウィング・ミーツ浪曲なラテン歌謡"石松金毘羅道中"、軽妙な逆ナン歌謡"マンハントに行こう"、キレの良いホーンが爽快な"黒猫シャノワ"、異色のひとりGS歌謡"オリンピック・ア・ゴーゴー"、ウィットに富んだアダルト歌謡"ダイヤモンドのパンツ"など、お気に入りの曲を挙げると非トリロー作品ばかりになってしまう。