今日聴いたもの

人の気も知らないで / 沢知美
69年。独特のアンニュイでダウナーな歌声で、ジャジーな曲からマンドリン・ギターをフィーチャーした演歌調まで幅広く聞かせるムード歌謡アルバム。平岡精二の名曲を幽玄にカヴァーした"つめ"と"あいつ"、シャンソンの"メランコリー"に"人の気も知らないで"といったクール・ジャズ路線のほか、ポピュラー・スタンダード"素敵なあなた"の洒脱なボサ・カヴァーが特にお気に入り。
67年から71年にかけてのシングル8曲が追加収録されてるんだけど、ガラッパチなブルージー・スウィング歌謡"モーニング・ブルース"をはじめ、ドライヴするベースがカッコイイ"私はかもめ"、途中の4ビート展開にシビれるウエスタン映画調の"罪ある女"など、コレがなかなかの充実作ぞろい。特に井上忠夫作品で、チェンバロ入りのヒップなグルーヴ歌謡"ブルー・モーニング・ブルース"は和モノとしてかなりキラー。
太陽の季節 / 三東ルシア
75年。ジャケの濃厚セクシーなイメージに反して清純派系のキュートな歯切れ良い歌声の持ち主で、切迫感に満ちたヤング性典歌謡のタイトル曲もイイけど、カントリー・ポップ調の爽快な楽曲に危ない歌詞が乗る"危険な春"、そのB面でほのぼのとした初々しい性典歌謡"昼下がりの部屋"の2曲にとにかくグッとくる。ちなみに以上3曲は全て橋本淳/井上忠夫作品。
シングル曲以外は同時代のアイドル歌謡やオールディーズのカヴァーで占められてるんだけど、躍動感のある"ネイビー・ブルー"にゴキゲンなロケンロールの"大人になりたい"、まるで"シベリア鉄道"な"ひと夏の経験"や筒美京平の名曲"潮風のメロディー"など、どれもこの人のカラーが出ていて新鮮に聞ける。