今日聴いたもの

慶子の気も知らないで / 西城慶子
69年。高峰三枝子淡谷のり子、二葉あき子など、戦前から戦後にかけての歌謡曲をセクシーなウィスパリング・ヴォイスとクールなジャズ・アレンジでモダンに甦らせた1枚。
ソフトでメロウなボサ歌謡の"雨に咲く花"、パヤパヤ・コーラス入りのクールジャズ歌謡"別れのタンゴ"に"夜のプラットホーム"、R&Bグルーヴ歌謡と化した"並木の雨"、ダバダバした"水色のワルツ"など、原曲を知ってる人にはなかなか衝撃的なヒップなお洒落カヴァーが多数。フルートがピースフルな軽グルーヴ歌謡の"時計"やバッハを引用したアレンジが秀逸な"愛の讃歌"など、同年のシャンソン・カヴァー5曲をボーナス収録。
スリー・キャッツのセクシイ・ムード / スリー・キャッツ
59年と60年の10吋アルバム2枚をカップリング。ラテン・リズム上でシスターズ・コーラスとお座敷小唄が出会ったようなウィットに富んだお色気歌謡集。とにかく流麗なハーモニーとウッフーンでイヤーンな合いの手のギャップにクラクラ。
バンドネオンの音色が印象的なカクテル・スウィング歌謡"私は独りに弱いの"に、どこか退廃的な雰囲気が漂うスロー・テンポのムードジャズ歌謡"ピンク・ムーン"、三味線をフィーチャーしたメロウなジャパネスク・ラテン歌謡"いい感じ"、ユーモラスでキュートなガーリー・マンボ歌謡"パパ恋人にあって"など、当時の浜口庫之助のほとばしる才気がスゴいんだけど、エキゾティック・ムード溢れるラテン歌謡"甘ずっぱい夜"に、ブルース歌謡路線の"アカシヤの花散る街"といった米山正夫作品の洗練されたセンスや、明るくてどこか切ないメロディーにキュンとくる古賀政男作の洒脱なラテン歌謡"こんな私じゃなかったに"も印象的。