今日聴いたもの

悪なあなた 〜 歌謡曲番外地 / V.A.
「Hot Wax」編集の70年代女性歌謡曲コンピ。全体にファンキーでグルーヴィーな曲を中心としたレアグルーヴ視点の編集。ラテン・ファンクなキューティ歌謡"あなたに負けたの / 小山ルミ"は改めて聞くとなんだかマンチェだし、セクシーな疾走R&B歌謡"山猫の唄 / エルザ"はアシッド・ジャズっぽいような。どちらも異様に切れ味鋭いギターがカッコイイ。
そういえば、この2曲に挟まれたアーシーなR&B歌謡の"悪なあなた /津々井まり"に、キュートなセクシー・ガールポップのバックでスライドギターがうねる"Oh-No-! / フラワーキッス"、ヘヴィ・サイケなテンプス"マイガール"っていう感じの"ホットパンツのお嬢さん / ザ・シュークリーム"など、やけにブルージーでサイケなギターが目立つ曲が多い印象で、ひそかにそういう隠れコンセプトなのかな。ファズ・ギター全開でベンチャーズをカヴァーした怪作"急がば廻れ / 小山ルミ"からイージーリスニングなボサ・インストにガーリーなポエム・リーディングが乗る"エルザのテーマ / エルザ"に続く流れもすごい。
あと、個人的に新鮮だったのは、ズベ公映画的な歌詞の世界観にシビれる"本牧ディスコティック / 牧陽子"や"ハイティーン・ガール / シュガーラブ"といった不良少女物のロック歌謡。他に疾走グルーヴィー系の"恋はまっさかさま / 太田とも子"や、"ラムのラブソング"を先取りしたようなセンスにグッとくるツギハギ・オールディーズ歌謡"恋人たちの森 / ミミ"とかもお気に入り。
殿キン・カンタービレ〜パロッタ・クラシック / 殿さまキングス
クラシック有名曲に日本語詞をつけた83年の企画盤。とりあえず1曲目の"たそがれ海峡(白鳥の湖)"の、流麗で哀切な管弦楽演奏にムード歌謡スタイルの艶やかなヴォーカルが加わる瞬間の軽い衝撃、そして終盤に向けて高揚していくファンキーな展開が最高で、これがベストトラック。"恋路ヶ浜ドナウ川のさざ波)"など、同様のコンセプトの曲は他にもあるんだけども、違和感があるような無いような不思議な感覚を一番味わえるのはやはりこの曲かな。
シングルで出ていた"係長5時を過ぎれば"をはじめとしたサラリーマン・ネタのコミック路線は、あまり音楽的なスリルや緊張感が味わえなくて個人的にはイマイチなんだけど、男女が結婚をテーマにモノローグともセリフともつかないディベートを繰り広げる"運命組曲(運命、結婚行進曲、アンダンテ・カンタービレ)"はかなり面白い。