今日聴いたもの

adore / 小谷美紗子
05年。ピアノ、ベース、ドラムのトリオに、曲によってギターも参加、というシンプルなバンド編成。冒頭、轟音ロックなイントロからフックの効いたメロディーがスッと入ってくる"まだ赤い"がいきなり格好イイ。これと、日本情緒溢れる柔らかな雰囲気からサビでダイナミックなピアノ・ロックに展開する"春遅し"がベスト・トラック。
叩きつけるようなピアノをバックに濃密な心理描写が展開される"割れた笑顔"や、クールな表現が逆に切なさを倍増させる失恋ソング"儚い紫陽花"も、聞けば聞くほど効いてくるこの人ならではの世界で、"アイシテイルノニ"での、まるで中学生の日記やホームルームでも覗いてるようなストレートな歌詞も強烈。個人的には「うたき」以来、久々に満足な1枚。
CATCH / 小谷美紗子
06年。こちらは完全に3ピース編成オンリーに。なんか劇的に曲が垢抜けた印象で、一体感のあるバンド・アンサンブルから生まれる疾走感とグルーヴがひたすら気持ち良いアルバム。英語と日本語がチャンポンになった曲が多いせいか、これまでのようにズシッとコトバが突き刺さってくるというより、時々印象的なフレーズがフッと耳に入ってくるという感じで、"Who"とか、一聴すると爽快なポップ・ソングみたい。
同じ軽快な曲調でも、日本語オンリーの"名も無き人"はやっぱり相変わらずディープで、ある意味ホッとしたりして(笑)。まあ、どちらもイイ曲だけど。あと、1曲目の英語曲"Rum&Ginger"に顕著なように、全体にオルタナ以降の米国女性SSW的な節回しが目立つかな。
Slow / 加藤いづみ
05年。上田ケンジと組んでた頃のシングル群で、この人の歌声にハマって、一気に買い集めたりもしたけど、久々に聞くこの声はやっぱりイイなあ。ギタポ・テイストの爽快J-POPや、フレンチなボサ調、メロウなシティポップ風、といった多少凡庸な曲でも難なくキラキラ輝かせてしまう、ナチュラルでどこか切ないキューティ・ヴォイス。アコギのカッティングに可愛いシンセのフレーズが絡むほのぼのアコースティック・ポップ"ムーニームーン"に、抑制の効いたメロディーが好みなグルーミー・フォーキー"窓辺"と、気になる曲のクレジットを見ると、どれもピンポイントで上田ケンジ作品だったり。