今日聴いたもの

ディス・イズ・タイム5 / タイム5
71年の1st。洋楽ポピュラー・ヒットの数々をソフトなラテン/ボサ・スタイルでカヴァーしたイージーリスニング・コーラス・アルバム。冒頭、A&Mなホーンやワルター・ワンダレイ風の清涼オルガンをフィーチャーした"ディ・バイ・ディ"のボサ・カヴァーからドップリとコーラスの快感に浸れる。全編統一されたコンセプトが貫かれていて、どの曲も同じレベルで洒脱で気持ち良く、反面、聞き進めるうちに退屈になってくるところはあるかも。3曲収録されてるバカラックのカヴァーが特に気に入っているけど、特に"世界の窓と窓"のメロディーの素晴らしさには改めて感じ入った。あと、"あの愛をふたたび"のユラユラしたオルガンも胸を締め付けられる名演。KING RE-JAZZ SWINGという再発シリーズ。
−雨のささやき−ジャスト・フィット・フィーリング! / タイム5
72年2nd。こちらはタイトルに「雨」を含む曲ばかりをカヴァーした1枚。"雨にぬれても"ではじまる前半の洋楽カヴァー集は、前作を踏襲しつつもA&Mテイストのラテン/ボサ一辺倒ではなく、ソフトロック調アレンジが新鮮な"雨にうたえば"や間奏のパーカッションが格好良いヨーロピアン哀愁スキャット"雨の訪問者"とか多彩な構成。
でもこのアルバムの目玉はたぶん後半の歌謡曲カヴァーの数々。"ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー"や"ローマの雨"など、当時のムード歌謡のヒット曲を徹底して洗練されたアレンジとコーラスでカヴァーしてて、ある意味かなり挑発的なアプローチ。特に極め付けは、能天気なお茶の間グルーヴ・アレンジで原曲のイメージを跡形もなく吹き飛ばす"アカシヤの雨が止む時"で、これはかなりのキラー。ほかにハードボイルドな映画のワンシーンが目に浮かぶような"今日の雨"、本当に雨に濡れてるようなトランペットのトーンが泣けるボサ歌謡"銀色の雨"、ダークなムードがサビの軽グルーヴ展開で一気に盛り上がる"雨に濡れた慕情"など、終盤の曲はどれもイイ感じ。