今日聴いたもの

Livin' Fear Of James Last 〜A Nurse With Wound Variety Pack / Nurse With Wound
Sancyuary編集の2枚組ベスト盤。しかし、こういうのまで再発シーンの射程内にあるとは。ドローンな通低音と残響系ノイズが織り成す音響空間に、多彩な電子音や現実音、さらにナレーション、女声チャント、祝祭的なパーカッション、そして無音などがコラージュ的に挿入されるダダイズム派ノイズ。なんだけど、ふざけたアルバム・タイトルが象徴するように、おどろおどろしいのかバカバカしいのかよく分からない、微妙なユーモア・センスというか悪意がそこかしこに感じられるのがこの人たちの特徴。この盤では、サービス満点のめまぐるしい展開で飽きさせないんだけど、ひたすら意図がわからない"Strange Play of the Mouth"と、嵐のような轟音の陰でオルゴールみたいな音が微かに聞こえて、大音量で聞いてるとメチャクチャ怖くて心細くなってくる"Swansong"がそういう意味で極北かな。
最初のアルバムが出たのが79年とは知らなかったけど、その1st収録の"Six Buttons of Sex Appeal"が、思い切りイメージを裏切られる、初期衝動炸裂のポスト・パンクなフリー・ミュージックでかなりカッコイイ。あと、ポジパンやヒップ・ホップ、ブルース・ロックなど、あえて普通のポップ・フォーマットを借りた感じの楽曲群もこれまで聞いたことがなかったんで新鮮。特に、悪夢的なインダストリアル・テクノの"Cold"、グルーヴィーなファンキー・ロックなんだけど、小節ごとにいちいちリズムが停止するグルグル風の諧謔ロック"Two Shaves and a Shine "が最高。