今日聴いたもの

ろっこうおろし / ジプシーブラッド
72年。ゆったりした空気と土の匂いが漂う和製アメリカン・ロック盤。お疲れムードのアーシー・フォークロック"風"、グルーヴィーなファンキー・ビートにモラトリアムなセリフが乗る"9月の恋"、タメの効いたリズム・アレンジが格好良いファンキー・ロック"プルルンパプラパ(リズムに乗って)"といった曲で聞ける粘り気のあるブルージーなギターがメチャクチャ気持ちイイ。他にはっぴいえんどの"春よ来い"を思わせる歌と演奏の"おろかな僕"、極端なテンポ・チェンジが楽しいカントリー・ロック"言葉を下さい"なんかもお気に入り。ボーナストラックのシングル曲はアルバムに比べるとポップ寄りで、東欧というよりはオリエンタルな雰囲気のヒネクレ・ポップナンバー"恋のジプシー女"が意表を突かれる変な展開で面白い。ネイキッド・ライン・シリーズ再発。
遺言歌〜誰にも知られずに消えるしかないさ〜 / V.A.
71年。東京キッドブラザーズの音楽を手がけていたSSWの、アングラ・ムードいっぱいのコンセプト・アルバム。ノスタルジックなヴォードビル調からフォーク、演歌、純邦楽まで多彩な構成だけど、なんといっても水谷公生のギターや柳田ヒロのオルガンが炸裂するニューロック路線に惹かれる。ジャックス風のダウナー・ロックが唐突に爆音の疾走ハード・ロックになる"霧が深いよ / 下田逸郎"をはじめ、異様な高揚感に満ちた疾走ロック"何か言おうとしたままで / 深水龍作"、疾走というより高速という感じの超アップテンポな念仏ロック"念仏子守唄 / 蘭妖子"、エピタフ系のダウナーなプログレ歌謡"自殺考 / 加藤栄"など、ユニークな和洋折衷センスと放射するエネルギーが強烈。これも同じくネイキッド・ライン・シリーズ再発。