今日聴いたもの

耳 / ミッキー・カーティス
72年。サムライ解散後のソロ作。プログレ志向の強かった「河童」や「侍」に比べるとどの曲もコンパクトで、西部劇サントラ風のウェスタン・フォークロック"夕陽の決闘"をはじめ、キャッチーなピアノ・ロック"海賊ゴルギータ"、ノスタルジックな"丘の上の子供達"など、山上路夫による物語仕立ての歌詞もあいまって、全体に演劇的なフォーキー・モダン・ポップ集という趣。グルーミーなフォーキー・プログレ"廃墟の王国"、抑制の効いたメロディーがクールなアシッドフォーク"モージョの世界"、エキゾティックなオリエンタル・サイケ"ラリったラクダに乗って40日間"といったややアングラ的な曲もイイ感じ。70年代のCMソングみたいなメロウで爽快なフォークロック"それだけの幸せ"は、ライナー読むとやっぱり当時CMに使われてたみたい。NAKED LINEという日本ロックの廉価再発シリーズの1枚。
SHINKI CHEN / 陳信輝
71年。全編に渡ってグニャグニャしたファズギターが空間を歪ませる、ダウナーなアシッド感に満ちたブルース・ロック。ドロドロのシャッフル・ブルース"気違いちょうちんの自由"、千鳥足なリズム感覚に頭がグルグルしてくるオルガン・ロック"昨日の出来事"、疾走ヘヴィ・サイケがクリームが壊れたようなジャジーなインプロに突入する長尺曲"偽善者からの訣別"など、何だか脳にクる音楽で妙に気持ちイイ。特にフィードバック・ノイズや逆回転を駆使したエフェクト音響空間に不吉な流麗ピアノが流れる冒頭のインスト"海の底"は強烈なトリップ・ミュージック。これもNAKED LINEシリーズ。