今日聴いたもの

TOCCATA ぷ-1 / 森下登喜彦と彼の友人達
72年。今日もディスクユニオンのMR5000番台再発シリーズ。不協和音に彩られた不吉なピアノ演奏を中心に、重厚なトーンのパイプオルガン、ダークなチェレスタ、ショッキングなパーカッションなどで聞かせる現代音楽風な前衛インスト曲と、後期タイガーズを思わせるポストGSなソフト・ニューロック歌謡で構成されたコンセプト・アルバム。前者の路線ではフリーキーに乱打されるピアノが痛快な"トッカータ 第3部-ストラクチャー-"、予想不能な展開を見せる大作"祈り(第1部、第2部、第3部、第4部)"が強烈。歌モノは対照的にメランコリックなイイ曲が多くて、おどろおどろしいイントロから一転、メロウなイージー・リスニング・グルーヴが心地良い"夜明けの鳥のように"、戦隊モノのテーマソングのように勇ましいグルーヴィ・ニューロック"夜を逃れて"、アソシエーション風のコーラスのバックでファズ・ギターが鳴り響くアシッド・ソフトロック"あの頃"が特にお気に入り。
森下登喜彦? 18才未満のバラード / 森下登喜彦
72年。オープニングこそ大仰なシンフォニック演奏だけど、こちらは基本的には室内楽やコンチェルト調アレンジが中心。どことなく昭和40年代ヤング的ポエジーに満ちたコンセプト・アルバムで、「宵闇せまれば」「午前中の時間割」「初恋・地獄編」といったあたりの青春映画を思わせる感じ。ヴォードビル調のスウィング演奏に男子のモラトリアムなモノローグが乗る"なにか面白いことないか"や、バロックな演奏をバックにした女の子の妄想的なつぶやき"男の子が空を指さす時"とか、気恥ずかしいんだけど妙に心地良い雰囲気が充満。葉山じゅんがキュートなヴォーカルを聞かせる"だんだん冬がくるけれど"、花沢大樹が歌う、流麗なオーケストラ・アレンジが素晴らしい情緒あふれるジャパネスク歌謡"夏の旅"、チェンバロ入りの爽快フォーキー・ソフトロック"卒業の朝"といった曲の瑞々しさにも胸がキュンとくる。