今日聴いたもの

Anything You Want / John Valenti
76年。凄まじいまでのスティーヴィー・ワンダーなりきり振り、しかも白人という、ちょっとモンドな感触のブルーアイド・ソウル/AOR盤。:熱血ファンキー・ロックな"Anything You Want"をはじめ、流麗フィリー風"Was It Something I Said"、チャカポコしたギターが気持ち良い爽快ディスコ・ソウルの”Time After Time”に”Why Don't We Fall In Love”と、微妙にスティ−ヴィーの音楽志向と違うところが、あり得たかもしれないスティーヴィーを想像させられて、そこがまた面白い。でもカラッとしたファンキー・ロック”Save Me”やノスタルジックなモダンポップSSW系の”Day After You”といった脱スティーヴィーな曲もすごく良いんで、むしろこっちの路線のアルバムを聞いてみたいかも。P-VINEの紙ジャケ再発。
Zakarrias / Zakarrias
英国人SSW(というより一人ユニット)の71年作。曲調やヴォーカルはプログレ混じりの完全なブリティッシュ・ハードロックなのに、あくまでギターはアコースティックで、結果、パワフルなダイナミックさとアシッドフォーク的なダウナームードが同居したつかみどころのない音楽性に。性急で変則的なリズムにキャッチーなメロディーが乗る"Country Out Of Reach"、ピアノ入りのクールなファンキー・ハードフォーク"Who Gave You Love"、オリエンタルなアシッド・ブラスロック"Don't Cry"、高揚感のあるアシッド・ロック"Cosmic Bridge"など、何だかよく分からないんだけど、どの曲もひたすらノイジーかつグルーヴィーにうねるベースが最高。ユニバーサルの紙ジャケ再発。
サイエンス・フィクション / S.F. 鈴木慶一プロデュース
78年.一応、歌と演奏は「宇宙からの物体X」名義。鈴木慶一プロデュースのサウンドイメージ・アルバムで、ライナーに書いてある通り、お茶の間感覚の人なつっこいプログレっていう感じ。いきなりのチープで大仰なシンセ・インスト”HAL9000”にウケていると、続く"地球脱出"が「イスタンブール」や「ヌーベルヴァーグ」のライダーズがプログレ化したよう瑞々しいポップソングで号泣。他に男女パートの絡みが絶妙なニューミュージック風の壮大メロウ・バラード"SF少年"、大掛かりなプログレ演奏にベタな歌謡メロが乗る"地球に堕ちてきた記憶"など歌モノはかなり充実。インスト曲では2時間ドラマティックなギター弾きまくりジャズロック"ナスカ平原"が印象的。ムーンライダーズ30周年記念の紙ジャケ再発。