今日聴いたもの

遠くヘ行きたい〜ダニー・ボーイ / ジェリー藤尾
謡曲系のオリジナル・アルバムを再発する東芝EMIの"歌謡曲伝説のアルバム"シリーズの1枚。独特のグルーミーな雰囲気になんとも言いようのない感情をかき立てられる"遠くにいきたい"と、アナーキーでナンセンスな陽性ロックンロール"インディアン・ツイスト"がやっぱり突出してるけど、時代劇モノの純和風ビッグバンド歌謡"石松野郎の唄"に日活映画風活劇タッチの"地平線がギラギラ"といったオリジナルや、カヴァーでは"聖者が街にやって来る"や"私の青空"といった、小粋な4ビート・ナンバーで聞ける味のあるシャウトを交えたバタ臭いヴォーカルは最高。ただ、特に後半にズラッと並ぶ健全ポピュラー音楽風なバラード曲はちょっと苦手。
敬ちゃんのロック 〜 涙の紅バラ / 山下敬二郎
こちらも上と同じシリーズで、ポピュラー・ヒットの日本語カヴァー・アルバムを2イン1にした再発盤。シュビドゥワ・コーラスが楽しい、お馴染み"ダイアナ"(サビのシャックリ唱法がイカス)で始まる前半の「敬ちゃんのロック」は、ジャングル・ビートのエキゾティック・ロックンロール"赤い翼ロック"に、「チャチャチャ!」の掛け声入りの"ベサメムーチョ"、シャッフルビートのクールなブルース・ナンバー"ア・メス・オブ・ブルース"、マーチとタンゴが混ざったような不思議なアレンジの"ベイビー・フェイス"、スティール・ギター入りのブルージーなハワイアン・スウィング"バルコニーに坐って"など、全編にエキゾティック・テイスト漂う多彩なアルバムでなかなか。ハツラツとしたアメリカンポップス調の楽曲でまとめられた後半の「涙の紅いバラ」は、まあとりあえず和める1枚という感じだけど、ラストの"白い霧のブルース"が突然濃厚なブルース歌謡。