今日聴いたもの

Thai Beat A Go-Go Vol. 1 / Various Artists
ベトナム戦争の影響で広まったという、60年代タイのガレージ、R&R、エレキ・インスト等を集めたSubliminal Sounds編集コンピ。やたらとエコーの効きまくった音響が全般的にアシッドで、特にハードエッジでエキゾティックなインスト物に圧倒的なオリジナリティを感じる。4曲収録されてるエレキ・インスト・バンドJohnny's Guitarは、パーカッシヴでエキゾティックな"Kratae"、マカロニ・ウエスタンのサントラ風の"Supannahong"、メタリックなギターが耳をつんざくドローン・インスト"Klongyao"と、どれも狂ったセンスが炸裂していてグレイト。他にも山下毅雄もビックリのスリラー・ムード"Phom Rak Khoon Tohing Tohing (I Really Do Love You) / Viking Band"、007テーマが時代劇の劇伴みたいになってる"James Bond Theme / The Sons Of P.M."など、どれも強力。民族色全開の"Muay Thai / Jiraphand Ong-Ard"もこの流れで聞くとやたらとカッコイイ。歌モノでは、虚ろな女性ヴォーカルをフィーチャーしたガーリー・ガレージ"Poo Yai Lee / Louise Kennedy"、謎な展開を見せるウエスタンR&R"Kaw-Liga / Silver Sand"、エノケンみたいなイイ湯加減のヴォーカルがオリエンタルなガレージ・サイケ演奏に乗る"Yom Pha Barn Norn Pahwaa (Satan's Nightmare) / Paiboon"、60年代の日本のテレビ・アニメの主題歌みたいな快活ジャズ歌謡"Hit The Road Jack / The Cat"など、終盤に並んでる曲がどれも最高。
Thai Beat A Go-Go Vol. 2 / Various Artists
歌モノ中心の第2集。ロックンロール系ヒット曲のカヴァーが多かった第1集に比べて、オリジナル曲が増えたせいかグッと歌謡色が強まった感じで、昭和40年代っぽいイカシたビート歌謡が満載の1枚。お茶の間ムード漂うユルいグルーヴ歌謡の"Yok Yok (Jump Jump)"に"Nai Teum (Cool Guy)"、哀愁漂う疾走トレイン・ソング"Rak Tong Rorn (Love Passion)"など、4曲収録されてる女性歌手Viparat Piengsuwanをはじめ、同じくお茶の間グルーヴ系"Mahn Kao Lah (What Fun) / Tuangchai Boonparaksa"、ヒア・カムズ・ザ・ガール感満点のSodsai Chaengkijの2曲"The Boat That I Row"と"Lady Madonna"(アップテンポで刻まれるオルガンが気持ちイイ!)、一人GSっぽいガレージ・サイケ・グルーヴ"Soo Kwarm Rak Khorng Phom Doo Dai (You Can See My Love) / Jackatchan"、背筋のピンと伸びたソウルフル・ヴォーカルで聞かせる"Funky Broadway / Suda Chuenbarn"など、甘くてパンチのある歌声が魅力的なキューティー歌謡がかなり充実。
男性ヴォーカル物は、T.Zchien & The Johnnyによるピンク・フロイドっぽいアシッド・フォーク"Let Your Life Be Free"とファズ・ギター・ソロが格好良いアシッド・ムード歌謡"I Find Only Dream"の2曲が何といっても素晴らしいけど、浮遊感のあるコーラスのウーリーブーリー系ビート歌謡"Shimmy Shimmy Ko Ko Bop / The Reasons"に、不思議なムードのビート歌謡"Wairoon (Teenager) / Kabuan Moogda"(ジェファーソン・ハンカチーフをちょっと思い出したりして)、男ばかりで歌われるユルユルな"Je T'aime Moi Non Plus / The Traces"、疾走感のあるビッグバンド・ガレージ歌謡"Pee Koe Pee Ork (Ghosts Come And Go) / Chai Muansing"、ニューロックなホラー・ビート歌謡"Nang Maew Pee (The Ghost Of Catwoman) / Surapon alias The Fox"などこちらも粒揃い。
Thai Beat A Go-Go Vol. 3 / Various Artists
70年代モノ中心の第3集。こちらはR&Bやファンク/ディスコ系の楽曲を中心にしたダンサブルな編集。1曲目の、チンピラ・ムードと民族テイストのバランスが絶妙なニューソウル歌謡"Thai Boxing / Jiraphand Ong-Ard"が最高。他にオシビサのヒット曲をムード歌謡っぽく聞かせる"Sunshine Day / Don"とラフな集団ヴォーカルが哀愁を醸し出す"Khon Muangkhan / Erawan Band"、サンタナのカヴァー"Noom Rai Por / The Royal Sprites"といったラテンソウル系に、JBファンク・スタイルの"Where Is The Love? / Flash"(ベティー・ライトのカヴァー。イイ曲)に"Come Together / Oriental Funk"(ムーグが荒れ狂うインスト)、意外な曲の良さを再発見させられるキワモノ・ディスコ・カヴァー"Soul Dracula / Don"、ビンボ・ジェット系フィメール・ディスコ歌謡"Changwah Disco / Chantana"など。
変わったところではPanatadaの、エレキ・インストとディスコが無理やり融合した"Let"s Go!"と運動会の応援団っぽいブラスにワイルドなギターや呑気な女声ヴォーカルやムーグが絡む意味不明なディスコ・インスト"Flash Disco"の2曲、先の読めない展開のノスタルジックかつストレンジなスウィング・ポップ"Heoow Sabat / Viman Naeramit"(ライナーではザッパが引き合いに)や、第2集に収録された方が良さそうなイエイエ系キューティーR&B歌謡"Jong Wai Korn / Suda Chuenbarn"みたいな曲も。