今日聴いたもの

幻の大リサイタル / 土居まさる
74年。時々歓声やMC(バンド・メンバー紹介やモノマネ・コーナーとか)が挿入される擬似ライヴ仕立てで、「パーソナリティー15年のキャリアを生かし、あの土居まさるが叫び、唄い、説得する異色のアルバム!」という帯の文句に惹かれたんだけど、別に叫んだり説得したりはしないユルいお喋り。歌も方に力の入らない気楽な感じで、全体にピースフルなカントリー・フレイヴァー溢れる1枚。ただし1曲目の"カレンダー"のみ、タイム・ファイヴと伊集加代子がコーラス参加し沢田駿吾がアレンジを手がけたメランコリックなお洒落ボサ歌謡でコレがすごく良い。他に気に入ったのはボ・ディドリー風の不思議リズムのロックン・ロール"6月下旬のぶつぶつブルース"と、やけにパーカッシヴな手拍子入りのスウィンギン・フォーク"口笛ウキウキ"。VAPのエレック・レコード再発シリーズの1枚。
中沢厚子ファーストアルバム / 中沢厚
73年。品行方正な清純ヴォイスが魅力のフォーク歌謡。といってもほのぼのしたあるいは哀愁系の典型的なフォーク歌謡は少なくて、わらべうたをアダプトしたトリッキーな"あじさいの歌"に清純ヤング歌謡な"落葉の挽歌"と"セピア色のバラード"、トラッド・フォーク的な張り詰め感のある"千羽鶴"といった東海林修作品や、森田公一作のファズ・ギター入り哀愁ビート歌謡"鐘が鳴る前に"、自作曲ではシャッフル・ビートのほのぼのポップ"かぎっこ"、伸びやかな陽性ロック歌謡"歩いて行きたいところは"、短いけど劇的なマイナー・ガーリー歌謡"あやつり人形"など、かなり多彩なタイプのイイ曲が揃った充実盤。これもVAPのエレック再発シリーズ。