今日聴いたもの

名もない星 / 村下孝蔵
92年。パブリック・イメージ通りの、甘い歌声で聞かせる叙情派ニューミュージック。手垢のついたようなメロディや転調を多用してるように見えて、細部にさりげなく聞き手を裏切るコード進行を挿入する細やかで飽きさせない、歌謡曲作家の職人芸にも通じるこの人の作曲センスはやっぱり良い。
"ロマンスカー"(次作を予見させるエレポップ・アレンジ)
"いいなずけ"(凝ったメロディ展開にメロドラマ的歌詞。イイ曲)
"すみれ香水"(この人ならではの日本情緒溢れる幻視的な歌詞が素晴らしい)
愛されるために / 村下孝蔵
94年。アコギを抱えた裏ジャケとは裏腹に大々的に打ち込みビートを導入したアルバム。楽曲自体はこれまでどおりの路線なんで、そのギャップに、初めて電化モーマスを聞いたときのような新鮮さを感じた。
"だめですか?"(エレポップ仕様の叙情派ニューミュージック)
"つれてって"(ユーロビート! これは軽い衝撃)
"君には勝てない"(陽性エレポップ)
男たちよ おいで 渡っておいで / 中山千夏
79年。いかにもバーボン・レコードなやさぐれ感が漂う楽曲に、独特の歯切れの良いヴォーカルと社会批評的な歌詞が乗った、中山千夏ならではのニュー歌謡曲小室等三上寛長谷川きよしが楽曲を提供してるんだけど、3人の合作の"愛された歌"は露骨に各人の個性が出た楽曲を無理やり繋げたようなツギハギ感が面白い((終盤に三上寛との"夢は夜ひらく"デュエットも飛び出す))。全体的には長谷川きよしのファンキーな楽曲が光ってる感じで、男性陣の気弱な掛け声が笑えるキレ味の良いディスコ・ファンク歌謡"Run Away"がとりわけ最高。長谷川きよし集めなきゃ*1と思った。あと、ディスコグラフィーを見てると*283年発売のライヴ・アルバムでは何とシブがき隊の"100%...Soかもね"なんか歌ってるみたいで、コレはメチャクチャ聞いてみたい。
"男たちよ"(中山千夏の自作曲。短いけど鮮烈な印象のブラス歌謡)
"つまンない"(フェミな現代歌曲〜フォーク歌謡)
"ソウルへの道"(オリエンタルなフォーク歌謡)
Black Satin / Black Satin
ドゥワップ名グループの76年Buddha盤。ミディアム〜アップ・テンポの爽快なハーモニー・ソウル中心にセンスの良いファンク/ディスコ・ナンバーなんかも聞かせる、時代の音を上手く吸収した感じの好盤。
"Tears, Tears, Tears"(ソウルフルなディスコ・チューン。パーカッションが格好良い)
"Everybody Stand & Clap Your Hands"(爽快美メロ・ダンサー)
"Light The Machine"(ビーチボーイズ引用?ありのアッパー・チューン)
"Hey There Pretty Lady"(ファルセットの切ないメロディが泣けるミディアム・グルーヴ)
"All Over Now"(ウォーキング・テンポのハネるリズムが気持ちイイ)
Fred Paris And The Satains / Fred Paris And The Satains
82年。AOR的なメロウ・ソウル・チューン中心。イイ曲多いんだけど、ドゥワップ・メドレーやデルフォニクスのカヴァーのストレートな焼き直しなんかが収録されてるため、上記盤あたりに比べるとちょっと後ろ向きな印象も受けてしまう。
"I'll Be Seeing You"(クリスタルなアーバン・グルーヴ。スウィート・ソウル系美メロ)
"Let Me Be The Last One"(ベースが太くうねるメロウ・ダンサー)
"Lovin' You (Would Be The Sweetest Thing)"(MOR寄りのハーモニー・ポップ)