今日読んだもの

文学的商品学 / 斎藤美奈子

小説を読むとき、あなたはストーリーばかり追いかけていませんか。あるいは登場人物ばかり見ていないでしょうか。物語にオリジナリティがあるとかないとか、人間が描けているとかいないとか、あるいは文章が端正だとか雑だとか、感動できるとかできないとか、そんなことにばかり、私たちは目を奪われてきたような気がします。

という「はじめに」の挑発的な文章にワクワクしながら読んだけど、思ったほどの切れ味は感じなかった。面白いけど。少なくとも"「妊娠小説」以来の久々の文芸批評"と言われて読者が期待するような内容ではないように思う。ラストの「平成不況下の貧乏小説」というチャプターが一番読みごたえがあった。

読書中のBGM
Water Babies / Miles Davis
(何度かリピート。この時期のマイルスはアルバム1枚1枚がそれぞれワン・アンド・オンリーのオリジナルな音楽。もちろん、寄せ集めっぽいこのアルバムも)