今日聴いたもの

剃刀乙女 / 青葉市子
'10年。なんだか輪郭のぼやけたような茫洋とした歌声に引き込まれる、ギター弾き語りSSW盤。曲のタイトルとか歌詞のフレーズに漂う80年代サブカルっぽい感じがちょっと嬉し恥ずかしくてムズムズするんだけど、"不和リン"や"腸髪のサーカス"といったおどろおどろしいアシッドフォーク調の曲と、大貫妙子のヨーロピアン・シティポップを弾き語りでやっているような"ココロノセカイ"に"重たい睫毛"、空気公団のキラー曲のようなキャッチーなアップ曲"光蜥蜴"といった曲が同居しているバランス感覚は「現代的」なのかも。と思いつつ、やはり二十歳の頃に「ひかりとかげ」なんていうタイトルの歌を作って歌っていた自分の過去の記憶が甦ってきてウワーってなってしまったりして(笑)、実に青春な1枚。
檻髪 / 青葉市子
'11年。「剃刀乙女」同様、静謐な弾き語り曲集なんだけど、過剰な言葉遣いやアシッドフォーク色が後退して、ティンパン系女性SSW的な資質が前面に出た感じ。得意の大貫妙子風スロー・フォーキー曲の"灰色の日"、"レースのむこう"に、ちょっとトラッドフォーク風の"パッチワーク"、プレAORな"おもいでカフェ"など、若書き的な勢いとひらめきを随所に感じさせる曲が揃った風街シティポップ名盤。冒頭と最後に置かれた小曲"少女と檻"や"繙く風"も含め、次々生まれる美メロ曲を簡素な演奏で気負いなく繰り出してくる感じに、ちょっとマリン・ガールズのアルバムを思い出した。