今日聴いたもの

魔力 / 井上陽水
'10年新作。井上陽水をアルバムを通して聞くのは久しぶり。いつの頃からか正直ちょっと鼻につき始めた、アップテンポのロックンロールやファンキーな曲での朗々とした歌唱とのミスマッチ感というか若干の冷や水感は如何ともしがたいものの、ダウナーでメランコリックなスロー曲の威力が想像以上に凄まじく、特に冒頭の流麗ピアノバラード"覚めない夢"にはヤラれた。ロマンチックと諦観の入り混じった歌詞に官能的な歌唱が一体となった傑作。他に、ダウンテンポ哀愁歌謡な"赤い目のクラウン"、得意の三連ロッカバラード"TWIN SHADOW"、そして深遠ニューエイジな"LOVE LILA"といった曲も良かった。
月と専制君主 / 佐野元春
セルフカヴァー新作。佐野元春もずいぶんご無沙汰。まともに曲を覚えているのは「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」あたりまでなんだけど、その延長線上としては十分納得できるアコースティックでオーガニックな感触の燻し銀な大人のロック。とはいえ、その選曲のせいか全体にあまりに渋すぎて、自分にはちょっと取っ付きにくい印象。ラテンロックな"ヤングブラッズ"やフォーキーグルーヴな"月と先制君書"などはお洒落で格好良いと思うんだけど。なぜかダウンロードボーナストラックの"すべてうまくはいかなくても"が突出してキャッチーに響いて、アルバム曲以上にお気に入り。個人的にはこの頃の曲だったら"冒険者たち"や"雨の日のバタフライ"を聞きたかったな。以上2枚、今週末に行く予定のコンサートの予習として。