今日聴いたもの

The Singer And The Song / Labi Siffre
71年2nd。"クレア"を思わせるMORピアノポップ"There's Nothing In The World Like Love"で幕を開ける今作は、1stのちょっとぶっ飛んだ感覚は影を潜めてリラクシンな空気感が漂う1枚。と言っても、決してユルいアルバムではなく、相変わらずキレのあるメロディーと越境的な多彩なアレンジで全15曲を一気に聞かせる引き締まった構成で、レアグルーヴ有名曲"Rocking Chair"がむしろ地味に感じる高水準曲揃い。特にお気に入りは、ハモンドをフィーチャーしたグルーヴィーなサンバ・フォーキー"The Shadow Of Our Love"に、フルートやフリューゲルホーン入りの爽快でメロウなプレAOR"Interlude"、変拍子疾走リズムとスローテンポを行き来する凝ったアレンジが面白いプログレMOR"Relax"、さりげなくもダイナミックなオーケストラル・アレンジが素晴らしいジャカ弾きファンキー・フォークロック"Summer Is Coming"。
Crying Laughing Loving Lying / Labi Siffre
72年3rd。これまでのアルバムには無かった雰囲気のスピリチュアルなアカペラ・チャント"Saved"ではじまり意表を突かれるものの、続くマッカートニー系ロンサム・フォーキーMOR"Cannock Chase"でいつものメロディー・メイカー振りが炸裂、そしてイントロのラム・オンなウクレレ・スウィングが始まった瞬間に心奪われる傑作"It Must Be Love"に。ここまでの流れは最高なんだけど、さすがに"It Must Be Love"が名曲過ぎて以後の曲が霞んでしまっているのか、ホーンやストリングス控え目なアレンジのせいか、正直、これまで聞いた中では一番地味な印象のあるアルバムかも。とはいえ、ヴォードビル調に盛り上がる"Love Oh Love Oh Love"に美メロなMORピアノポップ"My Song"など相変わらず冴えた名曲は多いんだけど。