今日聴いたもの

Drifting Devil / 石橋英子
08年。キラキラしたピアノのイントロから、ドタバタしたリズムに乗って突進するアヴァン・ジャズロックになだれこむ冒頭のインスト曲"Dizzy Dance"がいきなりカッコイイ。続く"Fearless [STOP]"も浮遊感が気持ち良いプログレ・ポストロックで、その予想外にガーリーなヴォーカルとのギャップも相まってすっかり世界に引き込まれる感じ。そしてクラシカルなピアノ歌曲風のバラードを挟んで、スウィングするパーカッションとアコギ演奏とひたすらスローなピアノと歌の組み合わせが面白い"橋の下にて"までの流れはかなりスリリング。クラシカル・アンビエントなピアノ演奏をメインにしたインスト曲やちょっと大仰なファンタジー・ポップを中心にした構成の5曲目以降は、ちょっと苦手なところもあるんだけど、端々で聞こえるフリーキーなサックスとかさりげないアヴァンセンスにはやはり惹かれる。
Works for Everything / 石橋英子
06年。比較的歌物指向が前面に出てる「Drifting Devil」に比べて、こちらは初期衝動につき動かされたような演奏が並んでる印象で、現代音楽風フリージャズなピアノ演奏の"Introduction"から、ノスタルジックなウィスパリン・ピアノ・バラード"夜鷹の星"、そして一転、ノイジーなギターとドシャメシャしたドラムがバトルを繰り広げる凶暴インスト"Moroheiya Sun & Rainbowz"、さらにアヴァンでガーリーなプログレ・ピアノ・ポップ"ベラのテーマ"と、まったく予想のつかない振れ幅の広さが鮮烈。全編を通じてエクスペリメンタルとノスタルジックが入り混じった独特のユーモアセンスや静謐な空気感が素晴らしい。バックで鳴ってる単調なバスドラ?が奇妙な味わいを醸し出す、ラストの荘厳で甘酸っぱいピアノバラード"光る窓に"がなんとも切ない気分。