今日聴いたもの

当世ロマン歌集 / 赤池晴子
92年。白井良明プロデュース。戦前流行歌や青春歌謡、70年代清純アイドル歌謡などをモチーフにしたアナクロな楽曲にシュールな歌詞が乗る、乙女チックなレトロSF歌謡とでもいうべき女性SSWアルバム。シンセによるサウンドメイクを核にしたアレンジは今聞くとちょっと薄味な気もするけど、小林靖宏のアコーディオンをフィーチャーしたワルツ歌謡"東京ハムレット"や、武川雅寛のヴァイオリン入りの可笑しくも物悲しいノベルティソング"鳴呼 宝くじ"など、マイナー調メロディーでの切ないフックと、見え隠れする80年代的なひねくれポップ感覚にはとりあえずグッとくる。
そっと私は / 丸山圭子
72年。"どうぞこのまま"以前にエレックから発売されていたファーストアルバムで、ジャケットのイメージどおりの清純派フォーク歌謡をベースにしつつも、ソフトロックやボサ、ニューロックなどが混在した、洗練と垢抜けなさが同居する、まさにプレ・シティポップな世界。中でも、上昇気流系ソフロMOR"心の中の"や、抑制の効いたメロディーと歌がクールなボサ歌謡"お願い"、奇妙な味わいのマーチング・ポップ"かげぼうし"あたりは完全に一歩抜け出てる感じで、70年代のティンパン系女性シンガーのレコードと一緒に聞いても全然違和感なさそう。