今日聴いたもの

My Dear +7 / 桜田淳子
A面全曲が矢野顕子作品という81年の異色作。1曲目の、奔放な展開のプログレッシヴ・ピアノSSW風ナンバー"私は憶病者"からいきなり独自の世界が全開で、心なしか桜田淳子のヴォーカルも矢野顕子が乗り移ってるような。続くちょっと不思議なテクノ・ディスコ歌謡"きっと きっと"を挟んでの3曲目、キャッチーなフィメール・シティポップ風に始まってまるっきり「オーエスオーエス」なサビに展開する"なぜかためらい"が最高で、個人的にコレがベストトラック。アルバムのもう半分を占めるのは小田裕一郎作品で、ウィスパリンなテクノ・ディスコ歌謡"ミスティー"と、陽気に弾けるスウィング・コーラス歌謡"This Is A“boogie""の、シングル曲のお手本のようなツボを押さえたつくりはさすがにプロの仕事という感じ。
まちぼうけ / 久保田麻琴
73年。多分カントリー・テイストのフォークロックというような音楽性なんだろうけど、アーシーさとソフィスティケイトされたポップセンスのバランスが絶妙で、さりげなくフックの効いたデリケートなメロディーが素晴らしい。まるでサニーデイな1曲目の爪弾きクラウディー・フォーク"あさの光"をはじめ、ほんのりファンキーなリズムにソフトロック的な歌とメロディーが乗る"汽車"、フワフワした雰囲気が少しアシッドな味わいの静謐カントリー・ロック"ひとごみ"、散文的な歌詞に思わず聞き入ってしまうダウナー・フォーク"山田氏の場合"、キレの良いブルージーなスウィング・フォーク"Poor Boy"、そして極めつけの、細野晴臣に通じるメロウなアーシー・フォーク・ロック"まちぼうけ"と、コレは本当に今まで聞く機会がなかったのが悔やまれる名盤。