今日聴いたもの

いとしのナナ / 木の実ナナ
カヴァーポップス期からGS全盛期まで、60年代のシングルと2枚のアルバムからセレクトされたP-VINE編集盤。97年の発売で、当時出ていた「キューティーポップコレクション」や「カルトGSコレクション」「東京ビートニクス」といったコンピに収録されていたキラーな曲をあえて除いてるせいか、全体にちょっと薄味な印象もあるけど、28曲もの収録曲の中にはさすがにグッとくる曲がいくつか。
アルバムの大半を占める60年代前半のカヴァー・ポップス物では、ちょっとナイアガラなオーケストラル・アレンジが素敵な"ママとパパのテレビ"、切ないメロディーのコンチェルト・ポップ"お部屋でデイト"、ウエスタンっぽい疾走ビートが心地良い"テル・ミー・ママ"といったキラキラしたガールポップ路線がお気に入り。あとレスリー・ゴアの"Maybe I Know"をグルーミーな歌謡テイストでカヴァーした"涙をこらえて"が意外に魅力的で、個人的にこれがベストトラック。オリジナルのニューリズム歌謡"東京キカンボ娘"の沖縄民謡と音頭が混ざったみたいな不思議な味わいも妙に印象に残るけど。
60年代後半のシングル曲から"真っ赤なブーツ"や"ミニミニ・ロック"あたりが外されてるのはさすがに痛いものの、ジャジーなボサ歌謡"恋のかたみ"と、そのB面のブルー・シャトウ系ムードGS歌謡"恋は宝"はなかなかイイ曲。特に"恋は宝"の洒脱な出だしのメロディーにはヤラれた。後に新星堂から丸ごと再発されたレオ・ビーツとの「レッツ・ゴー・ナナ」からの5曲の中では、やはりワイルドワンズのファズGSをムシ声入りでカヴァーした"青空のある限り"とヒップでクールなR&Bビート"バラ・バラ"が最高。