今日聴いたもの

Love That Louie - The Louie Louie Files / V.A.
アルバム1枚丸ごと"ルイルイ"なAce編集盤。全体を8つのパートに分けて"ルイルイ"の起源からその浸透と拡散までをたどるという構成が最高。1曲目に置かれてるRichard Berry And The Pharoahsによる57年発表のオリジナルは初めて聞いたけど、お馴染みのキングズメンの63年のカヴァーとそれほど変わりない感じ。続く「ルーツ・オブ・ルイルイ」ではRichard Berryが触発されたと思われる57年以前のポピュラー音楽が集められていて、明るくも切ないチャチャチャ歌謡"El Loco Cha Cha / Rene Touzet"はピアノ・リフが完全にルイルイでビックリ。あと"Havana Moon / Chuck Berry"はルイルイ云々より、チャック・ベリーがR&Rだけじゃなくてこういうエキゾティックな音楽も演ってたというのが発見だった。
いよいよキングズメン・ヴァージョンが登場する第3章「北西部のルイルイ」では、ほのぼのとしたダンスナンバーがハードなガレージ・アンセムになるまでの道のりをコンパクトに紹介。軽妙なドゥワパッパー・コーラスが楽しいLittle Bill With The Adventurers And The Shali など先行するカヴァーと続けて、改めてキングズメンの演奏を聴くとかなりリズムがヘヴィーな印象。そして音が割れまくりのノイジーな音響が強力なSonicsや、グッとテンポアップしたDon And The Goodtimesによる疾走カヴァーといったガレージ・ビート・クラシックに。
ビーチボーイズオーティス・レディングら、メジャー・アーティストによる解釈を中心とした第4章「生き様としてのルイルイ」では、サンドパイパースによる繊細なソフトロック解釈や、この盤の中でも一、二を争うハードコアな演奏のThe Swamp Ratsが強烈。続く第5章「海を渡るルイルイ」ではキンクスとサウンズ・オーケストラルによるカヴァーを紹介。どちらも派手さはないけど、"らしい"演奏。
ルイルイっぽいオリジナル曲が並ぶ第6章「焼き直されるルイルイ」は典型的なガレージ・バンドのオンパレードで、スクリーム入りのゴキゲンなパーティー・チューン"Louise Louise / H B And The Checkmates"やラウドなドラムが格好良い"Louie Louie 66 / Jack Ely And The Courtmen"とか最高。50年代と60年代に発表されたアンサーソングを1曲ずつ並べた第7章「その後のルイルイ」ではヒップなコーラス入りのR&Bビート・ナンバー"Louie Go Home / Paul Revere And The Raiders"がなかなかイイ感じ。最後はトゥーツ&メイタルズによる74年のディープ・ソウルフルなレゲエ・ヴァージョンで締め。「ルイルイの帰還」というタイトルには深い意味がありそうなんだけど、英文ライナーをチラっと見てもよく分からなかった。とりあえず間奏のムーグソロが楽しい。