今日聴いたもの

In A Wild Sanctuary / Beaver & Krause
二人組ムーグ・ユニットの70年1st。ムーグ・シンセ演奏に生楽器演奏や自然から採取した現実音などをミックス。ブルージーソウル・ジャズとミニマルなシンセ・ミュージックがブレンドされた不可思議な感覚の"Walking Green Algae Blues"、静謐な電子ノイズが突然大音量になってブラックホールに吸い込まれるような気分になる"Spaced"、チープなツゥラトゥストラ"So Long as the Waters Flow"、メランコリックなムーグ・イージリスニング"Salute to the Vanishing Bald Eagle"、ミニマルなアシッド・フォーク・サンバ"Sanctuary"、ギター&オルガンのブルース・インストのバックで波音や鳥の鳴き声、子供の声などSE満載な"And There Was Morning"と、思いついたアイデアをとりあえずやってしまってそのまま詰め込んだような、脈絡無くとっちらかった感じが楽しい。
Gandharva / Beaver & Krause
71年。前作に比べてぐっとオーガニックな音作りに。前半はマイク・ブルームフィールドをフィーチャーしたファンキーなブルース・ロック、サティ風のミニマルなピアノ演奏に”虚空のスキャット”みたいなヴォーカルが乗る"Walkin'"、軽快なゴスペル・クワイヤ・コーラス"Walkin' by the River"といった曲と、重厚でおどろおどろしいシンセ・インストの"Soft/White"、"Nine Moons in Alaska"という対照的な路線が同居。ジェリー・マリガンが参加した教会でのライヴ録音の後半は、ある意味前半の二つの要素が融合した感じの、敬虔で壮大な雰囲気のニューエイジ・ジャズを展開。サックスとギターのポリリズム的な合奏に、琴のようなオリエンタルな音色のシンセが絡む"Short Film for David"が不思議に魅力的。
All Good Men / Beaver & Krause
72年。ラグタイム風ミュージカル・コーラス曲"Real Slow Drag”(スコット・ジョプリンのカヴァー)で幕を開ける本作は、ストレートなフィメールMORポップス"Sweet William"やジェントルなSSW的な楽曲がプログレっぽく展開する"Looking Back Now"、ピースフルなフルート入りSSWチューン"Child of the Morning Sun"といった、シンセをアレンジの味付け的に使った歌物と、TVドラマの劇伴風のちょっとドラマティックなインスト曲が中心。アンビエントなシンセ・ミュージックにダンスの教則レコードみたいなしゃべり声を乗っけた"Legend Days Are Over"や、シークエンス・フレーズにアコギのカッティングが絡んで、途中アッパーなドラム・ブレイクが入る"Bluebird Canyon Stomp"、エクスペリメンタルな電子音響インストが紆余曲折を経て冒頭のコーラス曲につながるラストの"Drag"といった曲で聞けるサンプリング的なセンスは現代でも通用しそうな感じ。以上3枚、Collector's Choice Music再発盤。