今日聴いたもの

去れよ、去れよ、悲しみの調べ / 梶芽衣子
74年。歌とセリフで構成された「女優がう歌う」アルバム。いかにも昭和40年代的なマイナー歌謡が中心の内容。「怨み節」のイメージとは随分違うスムーズな歌唱が意外で、"舟にゆられて"(矢野誠)や"とりとめもない思い"(大野克夫)といった和製ソフトロック歌謡的な曲で聞ける歌声なんかはクロディーヌ・ロンジェを連想したりさえする。VIVID再発盤。
物語のようにふるさとは遠い / 富岡多恵子
76年。「遠い空」が実は青春時代の愛読書だったりするんで、かなり思い入れのある作家なんだけど、自ら作詞した曲を歌うこんなアルバムがあったとは知らなかった。坂本龍一が作編曲を担当してる、現代歌曲風だったりクロースオーヴァーだったりといった楽曲群は、ある意味予想の範疇なんだけど、この異様な歌声はかなり衝撃的。エレクトロなファンキー・ロックのタイトル曲、ダウナーに呟くクロスオーヴァー歌曲"青い小さな花"、お洒落ブラジリアン・フュージョンにあまりにミスマッチな歌声が乗る"その日は明るい晴れた日だった"、なんともヘンテコなピアノ歌曲"中折帽子をかむったお父さん"など奇怪な曲が目白押し。P-VINE再発盤。