今日読んだもの

黒い仏 / 殊能将之
第3作。前作とはまた雰囲気が変わって、今度は伝奇趣味をスパイスにしたお手軽なキヨスク・ミステリ風で、途中まで読むのが辛かった。さすがにこの人の小説はこれで打ち止めにしようかと思ったけど、終盤、予想もつかないデタラメな展開に呆気にとられてしまう。とりあえずもう一冊は読んでみようと思う。今回もサン・ラからキンクスまでポップス・ファンの心をくすぐる固有名詞がいろいろ登場。
からくりアンモラル / 森奈津子
ハヤカワSFシリーズJコレクションから出た短編集。60〜70年代の中間小説誌に載っていそうなアイデア・ストーリーでどれも面白い。ポルノ風の作品が大半を占める中、「いなくなった猫の話」はエロ抜きのロマンティック・ストーリーでこの人の本でこういう話を読めるとは思っておらず、不意をつかれて不覚にも泣けてしまった。