今日聴いたもの

One Fine Day / 大貫妙子
'05年。小林武史と組んでいた頃くらいからずっと離れてしまっていたんだけど、70年代シティポップ路線に回帰したようなこのアルバムは実に最高。さすがに元祖なだけあって、最近のフォロワーを全く寄せ付けない圧倒的なオリジナリティと存在感のある曲がズラリと並んでいて、特に"船出"、"The Blank Paper"、"One Fine Day With You"と、風街少女がそのまま大人になったようなリリカルなシティポップ・グルーヴ連発から、ヨーロピアンなジャズワルツ"Hiver"になだれ込む前半の流れにはやられる。バラード中心にしっとりと流れていく後半も、スムーズな中に巧みにフックをしのばせる職人芸的なソングライティングが冴え渡っていて、自然体でありつつどうにも隙のない1枚。
ROMANTICO / 南佳孝
'04年。映画的でちょっと哲学的な歌詞がおそろしくハマるクールな歌声はまったく健在。ノスタルジックなアーシーAOR"遙かなディスタンス"をはじめ、女性コーラス入りのラテンロック"Step To Heaven"、リズムチェンジが格好良い深遠なシティ・ポップ"ホテルに棲む女"といった一聴して引き込まれるキャッチーな曲に、ゆったり漂う白日夢のようなサマーソング"海を見ている"、まさに独壇場なプールサイドAOR"Moonlight Splash"、ダウナーなハードボイルド・サンバ"雨の魚"とか、どこか凄みすら感じるスロー曲など、大貫妙子と同じくこちらも楽曲が恐ろしく粒揃い。アコースティック・クロスオーヴァーという感じの多彩で濃密な演奏も気持ち良くて、こういう手練れた音楽を聞いているとだんだん若い人たちの新しい音が聞けなくなりそうで怖い。