今日聴いたもの

シーシック・セイラーズ登場 ! / 鈴木慶一
前作同様、曽我部恵一プロデュースの新作。全体にキンクスの「アーサー」の頃とかフーの「セル・アルト」とかを思わせる雰囲気。最初はあまりにヨレヨレなヴォーカルにちょっと腰が引けてしまったけど、メランコリックでアーシーな"水の中のRadio"や"物恋うWaltz"といった曲のディープな雰囲気にだんだんハマってきた。でも、90年ごろの作品のようなもっとヘヴィーな歌詞で聞きたかった気もして、そうなるとこのコンセプト優先の書割っぽい詩作がちょっと残念な感じも。それにパッと聞いて強く印象に残るのが曽我部恵一が手癖で書いたようなハウシーなメロウ・ロック"Da Da Da"や上野洋子作の不思議なフレンチ・ルーツレゲエ"愛の瞬間"だったりするのも、かつてクセモノ曲揃いのムーンライダーズのアルバムでひときわ輝くキラー曲を常に提供していた頃を思うとちょっと寂しい。ドタバタリズムがポストロックっぽいモダンポップ調の"FMとAMの間のゴースト"はムーンライダーズ的な名曲。