今日聴いたもの

ワーク・ソング / 尾藤イサオ
66年。ストリングスやビッグバンド・アレンジを排して、ジャッキー吉川ブルーコメッツによるシンプルなコンボ演奏をバックに、独特のディープな歌声で歌いまくる若々しくもブルージーな1枚。ストレートな訳詩と間奏のファズ・ギターのインパクトが強力なタイトル曲からダウナーなガレージ・ジャズ歌謡"蜜の味"と続く冒頭の流れと、デスパレートな慟哭歌謡ロック"悲しき願い"、シークレットエージェントマン系のクールなエレキ歌謡"涙のギター"の定番2曲がなんといっても最高だけど、西部劇風の荒涼ロッカバラード"孤独の町"やリフがカッコイイ疾走ロックンロール"ダイナマイト"といったガレージな魅力に満ちた曲や、爽快なアレンジとドスの利いたヴォーカルとのギャップが不思議な感触の健全フォークソング"グリーン・グリーン"、逆に原曲のイメージを覆すダウナーでブルージーな解釈の"ユー・アー・マイ・サンシャイン"なんかの珍品系もまじえて充実した構成。ボーナストラックでは川口真のブルコメ風哀愁GS歌謡"銀の十字架"が良かった。筒美京平"センチメンタル波止場"も収録。
夜明けのスキャット / 由紀さおり
69年。トレモロ・ギターにヴァイブ、ピースフルなスキャットアブストラクトな歌詞が織り成すドリーミーな傑作ソフロ・ムード歌謡のタイトル曲をはじめ、全編をいずみたく作品で固めたアルバムで、トラッドな日本唱歌風の"女ひとり"や牧歌的なフォーク歌謡"夜明けのうた"、軽グルーヴなムード歌謡の"この恋を抱きしめたい"など、どんな曲でもソフィスティケイトされたソフト&メロウな空気に染め上げる独特のアレンジと歌声が素晴らしい。やはりトレモロスキャット路線の"真昼のデイト"や"天使のスキャット"、"青いスキャット"、そして4ビートのフレンチ・ジャズ歌謡"男と女のスキャット"にパヤパヤした和製ボサ"結婚します"といったウィットの利いたソフロ路線が特にお気に入り。ボーナストラックでは、アルバム同様のいずみたく作品で、セクシーなため息ムードボサ歌謡の"バラのためいき"も悪くないけど、"白い恋人たち"や"男と女"など後に本格的に取り組むフランシス・レイものがイイ感じ。