伊藤つかさ

夢の振り子 / 伊藤つかさ
'86年。白井良明プロデュースのムーンライダーズテクノ歌謡アルバム。全体に「青空百景」の爽快感と「アニマルインデックス」のモヤモヤ感が同居してる感じの世界で、かつビンビンくるハードエッジなドラム音が気持ちイイ。やはりアルバム冒頭と最後を飾る" 不思議劇場(はてなシアター)"とそのリプライズ的な大作"夢の振子"がメチャクチャ素晴らしい。あと"水辺の王国"もフリッパーズとは違うもう一つの和製ネオアコ系譜の傑作。

梓みちよ

退職願い-ナツコの結婚-(紙ジャケット仕様)

退職願い-ナツコの結婚-(紙ジャケット仕様)

'70年。昭和40年代の洒脱な中間小説でも読んでるようなウィットの効いたコンセプトアルバム。ユニークな歌詞と洗練されたメロディーのマッチングがスリリングな"退職願"がいきなり最高で、他にもジェントルなボサノバ歌謡クラシック"適齢期"に、飛び道具系の面白フレンチ歌謡"卒論"、出だしの洗練された美メロにやられる"母子手帳"など、チャレンジングな曲がいろいろ聴けるクリエイティブな歌謡曲集。

布施明

布施明がバカラックに会った時(紙ジャケット仕様)

布施明がバカラックに会った時(紙ジャケット仕様)

'71年。布施明のダイナミックなヴォーカルを楽しめるバカラック集。代表曲のカヴァーと3曲の書き下ろし曲で構成されてるらしい。解説では、"Me Japanese boy"も新曲の1曲ってことになってて、ハーパース・ビザールの「シークレットライフ」で初めてこの曲を聴いた自分的には眉唾かな。初聴の牧歌調MOR"WINDOWS AND DOORS"とか凄く気に入ってるんだけど。名曲カヴァーでは、爆発する歌声にしびれる"WALK ON BY"が特に最高。

The Residents

フィンガープリンス(紙ジャケット仕様)

フィンガープリンス(紙ジャケット仕様)

'77年、あの「サード・ライヒンロール」の次に出た4th。ミニマル、チェンバー、エキゾティカなどが渾然となって展開されるつかみどころのなさすぎる音楽で、チープなリズムボックスと電子音が怪しさ倍増。なんだけど、冒頭の調子はずれのズンドコロック"You Yesyesyes"や先鋭的なオルタナティブ/ポストパンク風の"Flight Of The Bumble Roach"とか、無性に格好良い瞬間が結構あって、特に15分の組曲"Six Things To A Cycle"はさすがの完成度。

Modest Mouse

NO ONE'S FIRST & YOU'RE

NO ONE'S FIRST & YOU'RE

'09年の8曲入りEP。出てたの全然知らなくてタワレコの投げ売りワゴンで存在を知ったという。このバンドの音久しぶりに聴いたけど独特の温かいラウドロック・アンサンブルがホント気持ち良くて、1曲目"Satellite Skin"でああこの感じこの感じ!って一気に持っていかれる。そして錯綜するvoとギターのフレーズが格好良い反復系覚醒ロック"The Whale Song"の素晴らしさ。全体的にソフトロックテイストもあるバラエティに富んだ佳曲揃いな1枚で前のアルバムより好き。

TULIP

run

run

'07年の復活作。財津和夫の曲で固められたDisc2がに強烈。ビートリッシュなメロディーを優しい歌声で聞かせる作風は健在ながら、人を失う悲しみと諦観に満ちた歌がしわがれ声を交えて歌われる様に圧倒されてしまう。何とも悲痛な寂寥フォークロック"あの星へもどろう"に、奇妙に乾いた感覚が印象的なラテンフォーキー"空を見上げる人"、凄味のある枯淡調アシッドフォーク"見えないものも信じられるさ 愛が信じられるなら"など。

Peter Gallway

ONE SUMMER DAY

ONE SUMMER DAY

'76年に録音されたデモ音源集で、プレAORなアコギ弾き語り盤という感じなんだけど、1曲目"When She Finds a Man"をはじめ、お洒落なコードをラフにかき鳴らすどこかネオアコっぽい佇まいが実に格好良い。思わずギターでコピーしたくなるような。特にお気に入りは"Love Is Hard to Get"に"Melody Rose"といったメロウ曲、ファンキーな"1914"に"Lullabye"あたり。